前回の記事で「本当の戦いはここからだ!」と書きましたが、本当にそうでした。スプリットボードは、買った瞬間から「お前、本当に俺のこと使いこなせるの?」と試してくるクセ強アイテムです。
今回は、実際に使い始めてから気づいた「ここが変だよ!」ポイントと、それに対して私が行った(地味な)対策の記録をお届けします。笑いながら読んでもらえたら幸いです。
「このネジを六角にしたのは誰だあっ!?」アーレンキー削減計画
スプリットボードを使い始めて最初に気づいた問題、それが「アーレンキー(六角レンチ)が必要なネジが多い」問題です。
通常のスノーボードのビンディング調整はプラスドライバー1本でほぼ完結します。ところがスプリットボードは、各パーツの固定にアーレンキーが必要なネジが複数使われています。仕方なく6角レンチのシャフトを購入して持ち歩いていましたが、ただでさえラチェットとダラいバーシャフトを持ち歩いているのに更に2本シャフトを追加するのはどうにも不快です。


山に持っていく道具はできる限り減らしたい派の私としては、「全部プラスドライバーで対応できるネジに交換してやる!」と一念発起しました。
向かったのは近所のホームセンター。


ヒールカップ位置の調整ネジについては、M6×16mm(ピッチ1.0)のプラスネジが適合することが分かったので、探したんですが良いサイズがない!
仕方なくアマゾンで購入し交換に成功。これで少なくとも「ヒールカップ調整用のアーレンキー(4mm)」はザックから消えました!


しかし、問題はスプリットボードのフック(板を2枚に分割した際に固定するクリップ)を固定しているネジ(3mm)。こちらはピッチが極めて細かい特殊規格で、市販のプラスネジでは代替できず、泣く泣く交換を断念しました。なんでこんなマニアックな規格のネジ使ってんだ〇〇がぁ!


仕方ないので、こちらはロックタイト赤(めちゃくちゃ強力なネジの緩み止め剤)で固定し直し、ツアー中の脱落を防ぐ方向で対処しました。

結果として、ヒールカップ調整用のアーレンキーは削減できましたが、フック固定用のアーレンキーは今も携行しています。完全勝利とはいきませんでしたが、半歩前進。工具を1本でも減らせたことは素直に嬉しいです。

現在もフック固定スクリューの互換品を探していますが多分見つからない。てか海外通販で購入したほうが早上がり。(いっその事タップ切リ直しちゃおうかな・・・?)なんて考えも頭をよぎりますね笑
② 登るたびにストラップが外れる!つま先ラチェット解放問題と地味すぎる解決策
ツアーモードで斜面を登っている最中、妙なことが起き始めました。
歩いている最中、つま先側のストラップがいつの間にか緩んでいるのです。(あれ?締め忘れたっけ?)と思ってしばらく歩くとまた緩んでいる。これを数回繰り返してポルナレフ状態に陥ったことがありました。
そのたびにしゃがんでストラップを締め直すのですが、これが地味にキツい。体力的にというより、精神的に笑。ただでさえしんどい登りで、立ち止まって作業する度にリズムが崩れるのが、思いのほかストレスになります。
原因を観察してみると、これはスプリットボード特有の構造上の問題でした。通常のスノーボードではビンディングは板の中心に乗るような向きで固定されています。ところがツアーモードでは、板を前向きにして歩くためにビンディングを90度回転させた状態で使います。この結果、通常時は板の前後方向に収まっていたトゥーストラップのラチェットが、板の横方向=斜面の雪壁側に張り出した状態になってしまうのです。


ゲレンデでは問題にならない構造上の特性が、斜面を登るツアーモードでは「ラチェットが雪壁に当たって押される」という形で悪さをしていたわけです。
原因が分かれば対策はシンプル。ラチェットのバックルが雪面に干渉しない向きになるよう、ストラップの左右を入れ替えるという方法に行き着きました。
しかし、これが言うは易し、行うは難しでした。
BurtonのビンディングなどでもおなじみのL字型に成形されたストラップが、ビンディングの所定のパーツにガッチリはまっているのですが、これが本当にマジでめっちゃ固い。 外そうとしても全然動かない。悪戦苦闘してなんとか外しましたが、正直、「女性や非力な男性だと交換するの無理!」だと思います。
左右を入れ替えてからは、ストラップが勝手に外れる事象は今のところゼロです。しばらくこれで様子見していきたいと思います。
③ Spark R&Dのヒールカップ、握ると痛い問題をDIYで解決
Spark R&Dのヒールカップは、アルミを切り出して作られています。軽くて剛性があって、スプリットボードのパーツとしては理にかなった設計です。
ただ、切り口のエッジが結構しっかり立っていて、素手や薄手のグローブで握ると地味に痛い。


アウターグローブを着けていれば痛くはないんですが、インナーグローブだけで触ったときに「あれ、ちょっと痛いな」と感じる程度で、致命的なわけではありません。ただ、毎回ちょっとだけ気になる、あの**「地味なストレス」**がじわじわ蓄積していくわけです。
また、それだけエッジが立っていると、アウターグローブへのダメージも長期的には心配です。
ということで、削って塗装してみました。手順はこんな感じです。
1.240番のサンドペーパーでエッジを丸く削る


2.400番のサンドペーパーで表面を整えて足付け
3.脱脂(中性洗剤でよく洗ってIPAで拭いただけ)


4.ラッカースプレーで塗装


なお、施工したのは左足側のヒールカップのみ。スプリットボードを担いだり手で持ったりする際、自然と左足側を持つことが多いため、まず左だけ試してみました。


握り心地は明らかに改善。「あ、これでよかったじゃん!」という、DIYあるあるの達成感を味わえました。塗装の耐久性については引き続き様子を見ていきますが、今のところ剥がれなどは出ていません。ま‐足蹴にして使うものですからある程度は味と思ってます。
④「消えたネジ。雪山でネジを探す……(無理無理ィッ!)」フィールドリペア編
そして、最大のトラブルが訪れました。
友人と鳥海山へ。冬季通行止めのゲートからスプリットボードのツアーモードで歩き始め、滝の小屋に到着する直前の斜面で気がつきました。
ヒールカップを固定しているボルトが、消えている。
いつ落としたのかも分からない。雪の上に落ちたとしたら、まず見つかりません。広大な雪原に小さなボルトを探しに戻る選択肢は、現実的ではありませんでした。
幸い、エマージェンシーキットの中には番線(細い針金)とダクトテープとハサミがありましたので、これを使ってヒールカップを応急固定。なんとかツアーを続行できましたが、「タイラップを切らしていなければもっとスマートに対処できたな」と反省しました。



ちなみに番線を切るのに使用したのは「100均の爪切り」です。爪切りはハサミで代替できない機能を持っていますし、このようなフィールドリペアの際はニッパー代わりにもなります。使い捨てでも惜しくない価格と持ち歩くのに躊躇しない軽さで一個エマージェンシーキットに入れていくことおすすめのアイテムです。ちなみに全く刃こぼれしなかったのでそのまま使ってます!




この経験から得た教訓はシンプルです。
- 替えのボルト・ネジ類は必ず携行する
- タイラップは常に数本持っておく
- ロックタイトによる事前固定を怠らない
スプリットボードは、ただでさえパーツ点数が多い道具です。雪山という環境では、小さなトラブルが大きなリスクに直結することがある。今回は無事に済みましたが、改めて「備えの大切さ」を身に沁みて感じた一日でした。
フィールドリペア編おまけ
自分が持ち歩いているものを使用して直すとしたらと想定し、タイラップや細挽きを使用して直す方法も備忘録的に写真おいときます。
タイラップを使用する場合、左右のネジ穴を利用して互い違いになるようにセット。バランスを確認しながら両方を引き締め末端は爪切りでカット。ダイニーマコードはフリクションノットにして引き絞り、しっかりテンションをかけたあとに数回オーバーハンドノットで止め結びをすればとりあえずは使えそうでした。





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