皆さんはどこのメーカーの熊鈴を使っていますか?私は東京ベルの「森の鈴」を使用しています。しかし、この自動ロックが曲者でして、今回はこれをちょっと改良していい感じの使用感になったので共有していきたいと思います。
そもそも何でワンタッチ消音が必要?
最近は山小屋やテント場など熊と遭遇する可能性が低い場所での熊鈴について『マナー違反ではないか?』との苦情が寄せられる事もあるようで、上高地や立山などの特に登山客の多いエリアでは熊鈴のマナーについて張り紙などで注意喚起を促す流れも見られています。
以前はワンタッチ音機能がない熊鈴を使用していたのですが、その熊鈴は「収納袋にしまう」事で音を鳴らさないようになっていました。しかし、いちいち袋から鈴を出したり入れたりするのが煩わしかったんです。そこで一昨年からはワンタッチで消音できる東京ベルの「森の鈴」を使用しています。
改造した理由
熊鈴の重さで自動ロックが外れてしまい、意図しないタイミングで勝手にロックが掛かったり、外れてしまう事があり、そのたびにまたロックを掛けたり外したりと別の煩わしさが発生していました。
原因としては、熊鈴自体が真鍮製で重量があるため、大きな段差を超えたり、走ったりして上下方向に大きな荷重がかかると鈴の重さにロック機構内のスプリングが負けてしまう事が原因のようでした。そこで、中のスプリングを調整してロックの動作を固くする事にしました。
改造手順
- 必要な道具と材料
釣りとかで使用する鉗子です。結構色々使えるので登山のエマージェンシーキット内にも一本入れています。
- 改造方法
熊鈴のハンドル部分のキーリングを外します。
黒いハンドルから出ている細い針金はクラッパー(鈴を叩く鐘部分)から直結され、ハンドルを貫通しています。破損すると修理が面倒なので破損しないように注意してください。また、キーリングが外れると熊鈴が弾けるように分解するので、部品が飛ばないように気をつけましょう。
するとこのような感じの部品に分かれます。この細いスプリングを適当に伸ばして強くします。やり過ぎると戻すとき大変なので注意しましょう。
スプリングを強化したら逆の手順で組み直していきます。
この輪っかにキーリングを通していくのですが、外したときは苦も無く外せましたが、スプリングを強化したせいで中々組み直すのが少々難しいです。
ラチェット付きのフォーセップを持っている人は輪っかの頭部分を出した状態で固定しておくと楽に戻せると思います。
改造後の使用感
熊鈴はパイカパック背面のコードループに直付けしています。パイカパックは色んなとこにコードループが付いていてホント自分好みにカスタムしやすいですね。
飛び跳ねても走ってもガッチリロックが掛かっており、意図しないタイミングで外れることは皆無になりました。当然、意図しないタイミングでロックしたりもなくなりましたので、山行中に感じていたプチストレスを解消でき快適に歩けるようになりました。
アマゾンの商品ページのレビューを見ていたら、同様の事象でストレスを感じていたり、買い替えたりしている人も見受けられました。簡単な改造で快適になりますので、お困りの方はぜひ自己責任でトライしてみてください。
おすすめの熊鈴
東京ベルのHPを見てみたら、最近はトレラン用の熊鈴や、真鍮ではなくアルミ素材の「森の鈴 Light(43g)」という軽量化versionも存在しているようです。今回の事象は、森の鈴の重さ(63g)が原因の一因となっていますので、これから買う人にはそちらの軽量化版のほうがイチオシです。
※ちなみに「森の鈴Light」は「森の鈴」よりも外形が少しデカいので、小さい製品が欲しいという人には向きません。小さい製品が欲しい、という人は『花鈴「KARIN」』か『トレイルランベル』を購入すると幸せになれると思います。トレイルランベルまで小型化しちゃうとそもそも音が熊鈴として用を成すか微妙になって来ると思うのでそこは何を重視するかですね。
レギュレーションで熊鈴の装備を求められるトレランの選手なんかはEX’PERT OF JAPAN(エキスパートオブジャパン)の『ミニベル(10g)』を装備しているイメージですが、ワイヤーむき出し(一応ビニールで覆ってはある)、消音機能無しの完全にレースに振り切ったホモロゲ用熊鈴です。
これはこれで機能を削ぎ落とした末に残った機能美がある逸品だと思います(熊鈴として用を成すか疑問ではあります)。
熊鈴の効果について
正直熊鈴は効果があるのか無いのかイマイチわからない製品です。鳴らしていても間近で熊に遭遇したこともありますし。そんな場合でも、今までの遭遇例では『100%熊の方が逃げてくれている』ので、基本的に熊は臆病な生き物という話は体感として実感しています※1。
なので向こうから向かってくるという状況は「子連れの母熊」に「バッタリ鉢合わせた」という不運が重なった状況くらいだと思います。果たしてそんな状況で熊鈴が最適に機能するのか&熊スプレーを最適に使うことができるのか・・・?とも思いますので『慢心せず・周囲に気を配りつつ歩く&熊スプレーをいつでも使えるよう訓練しておく※2』というのが現状できる最適解な気がします。
とはいえ、こちらは熊の住処に踏み込んでいる侵入者です。なるべく彼らを刺激しないような立ち居振る舞いをしていかないといけませんね。
※1 2016年に秋田県鹿角市で起きた事件の熊みたいに「人を食料と認識した熊」は別物です。熊鈴の音で「あ!食い物いる!」って誘引する可能性まであります。そんな山域には「入らない」ってのが一番の予防策だと思います。
※2 ちなみに熊スプレーは左側のチェストストラップにリールキーホルダーで固定し3秒以内に使えるようにしています。しかし、山の中で走る熊を見たことがある人はわかると思いますが、多分「3秒じゃ遅い」んですよねー。子連れだと問答無用で来るしそこら辺も頭の片隅に入れつつ冷静に行動できれば&自分自身も熊スプレーで多少の被害を被る覚悟があればとりあえずは撃退できる可能性が高いと考えています。うーん、やはり会わないようにするのが最重要ですね。万事を尽くしていきましょう。
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